白山1 試練の道

11月3・4日 白山へ出発した。
目的地は平泉寺白山神社・白山ひめ神社である。

前日は疲れて眠ってしまったので、朝6時に起床して装備を調える。
あらためて地図を取り出してルートを確認。
宿営予定地・弁当の買い入れ地等を地図で確認。
ルートもメモに書き込んでいく。
国道の番号や分岐点の地名を覚えるのは非道く苦手である。
地図の読めない男なのだ。
予め最大限に準備しておくのだ。

パッキングを済ませたのが9:30。
今回はカメラバッグをすぐに取り出せるようにするのが課題だ。
主立った荷はかごの上に積み上げ、カメラバッグはかごの前に括り付ける。
何とかなりそうだ。

既に市内が混雑する時間だ。
22号を北上。道は広いが道路は混雑。
上の東海北陸自動車道は掲示板表示では渋滞らしい。
腰の辺りがもぞもぞする。カメラバッグが揺れている。
これはいかんな。
ホームセンターを見つけ、パッキング用に古タイヤを材料にしたゴムベルトを2本購入。
300円。
パッキングの基本がロープであることぐらい知っているが、バイクの荷台はロープワークに向いていない。
見栄えは悪いが安物のゴムベルトが実用的である。
これで安定性も取り外しもバッチリである。
12時過ぎに岐阜市内に到着。
うどん屋で昼食。
岐阜界隈は山と言うほどではないこんもりと小さな丘がところどころにある。
面白い土地だ。
156号に乗り換える。1車線だが渋滞はしていない。
関市・美濃市と快調に通り過ぎる。
道の駅で一服。
長良川沿いで河原に降りていけるようになっている。
写真をパチリ。

暫く先から渋滞になった。
紅葉の季節だからか、それとも渋滞しやすい道なのか。おそらく後者だろう。
停車した車の左端をすり抜けるが、大型トラックがしばしば左端まで道を塞ぐ。

このままではたどり着けないぞ。
しかし、郡上八幡の手前から渋滞が徐々に解消。
特に事故・工事中でもないし、交通の基本設計に問題有りだ。
基幹道路の筈だが、路面はひび割れが多く、稀に補修された後が絆創膏のように盛り上がっている。
パンクしやすそうな道である。
できるだけきれいな部分の上を走るよう慎重に走行。

15時。郡上八幡の市内に入る。
すっかり渋滞も終わった。
コンビニで一服だ。
缶コーヒーと甘めのお菓子を頬張る。
意外と開けているので夕食場所には不自由しなさそうだ。
ひるがの高原近くのキャンプ場に電話を入れる。
19時までにきてくれれば大丈夫だそうだ。
礼を言って電話を切る。
後4時間。十分である。

白鳥で左折して158号へ。
九頭竜湖へ向かう。
158号はすっかり山の中の道だ。
道端はすっかり紅葉・すすき野。
途中で止めては写真をパチリ。
九頭竜湖に着いたのは16時過ぎ。
風が冷たくなってきた。

明日九頭竜湖北岸を走る予定のため、本日は南側の県道230号を走る。
夕方5時がリミット。30分ほど走って引き返す。
再び156号へ。
156号へ復帰する直前に高架をグルリと回って降りていくときの景色が美しい。

ここから10kmほど北、ひるがの高原が目的地だ。
正確にはNAO明野高原キャンプ場である。
真っ暗になってしまった。
ゆっくりし過ぎた。
右折して県道を何本も分岐して走らねばならないのだが・・・
地図上で標識になっているお寺を見つけるのはこの暗さでは絶望的。
距離と細道の数と勘で右折。
ときどきライトにお墓が浮かび上がる。
田舎道は国道でも道端にお墓があったりするから心臓に悪い。
それでも頭上に東海北陸自動車道を超えたところからして、道は正しそうだ。
が、どんどんと道が細くなる。
遂に、未舗装の林道に入り込んでしまった。
左右から大きく雑草が伸びてきている。

これって絶対に県道じゃない!
私は間違いを悟った。そしてUターンをしようと右ハンドルを切った。
そのとき、左右の轍にすっぽりと前後のタイヤが嵌り込んでしまったのである。
暗くて分からなかったが恐ろしく整備不良な道だ。

ゆっくりとクラッチを繋ぎ、ターンしなければ。
しかし、前輪の先の地面が・・・ない。
道の端の側溝に向かって前輪がずり落ちていく。
見るに1m近い落ち込みだ。慌ててブレーキを。
どうやら断面的には完全にM字型になっていて、轍の外側は急傾斜で側溝に落ちるようになっている。
慌ててバイクから降りて支える。
もちろんギアを1速に落としてエンジンはストップ。
空の満月と新品で強力なバッテリーによるライトが救いだ。
普段の整備のたまもの。備えあれば憂いなしだ。
いやいや、憂い真っ最中である。

まず落ち着かなくては。
先程自販機で買ったお茶を片手でごくりと飲む。
クラッチを切ると同時にバイクを後退させる。
力業で乗り切るしかない。
満身の力を込めてバイクを後退させる・・・が力及ばず反動で更に前進。
ジリジリとタイヤが落ち込んでいく。
腰を落としてバイクを支える。

もう一度。
・・が力及ばず。
ジリジリとタイヤが落ち込んでいく。

更にもう一度。
・・が力及ばず。
ジリジリとタイヤが落ち込んでいく。

完全に落ち込んだら持ち上げるのは絶望的である。
真っ暗な林道で一人渾身の力を絞る私。
20分ほども戦い続けただろうか。
人事を尽くした私は、空の満月に向かって祈った。

我に七難八苦を与え・・・じゃなくて、ちょっとだけでも力を貸して頂戴・・

しかし・・・

プシュ~ン

遂に、力が尽きてしまった。が、
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。
脱力の極意が閃く。
私はバイクを横倒しした。
倒れたバイクの前輪を引きずって道の中央に戻す。
何とか立て直した。
見事サバイバルした私。
しかし、背中は冷や汗で濡れていた。

再び156号へ戻る。
県道の標識を見つけた。
延々と走り続ける。今度は正しそうだ。
地図上の標識と合致。だがここから先は大丈夫か。
もうわけが分からない。
キャンプ場に電話をかける。
19:30。約束の19時を30分オーバーだ。
「そこから道なりに真っ直ぐ10分もすれば着きますよ。」
寒くて暗い道を走って漸く到着。

先程道に迷って、バイクを倒してえらい目に遭ったと思わず苦労話が口を出る。
この寒さでキャンプはきつい。
しかし、バンガローは一泊一万円とのこと。
やっぱりキャンプだ・・・が、意外にも管理人さんが「そのような大変な目に遭ったのでしたら、特別にバンガローを二千円でお貸ししましょう。」と言ってくれたのである。
布団や備品はないそうだが、寝袋があるので問題なし。
地獄に仏とはこのことである。

夕食を取れる場所を尋ねるとここから10分ほどで156号に出れると教えてくれた。
そんなに近かったのか・・・

レストランで少し高級な夕食を食べて、帰りにコンビニでお酒を。
缶を押すと熱燗になる日本酒が・・・便利なものだなぁ。
その夜はバンガローの中で熱燗を飲んで、冬用の寝袋でぐっすり眠ったのでした。
by dokuzenryu | 2006-11-08 02:19


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