吉野千本桜 1.天気予報は大外れ

4月7・8日、有名な吉野の千本桜を見に旅立った。
いつものように寝坊して、いつものように慌てて愛車DJEBEL250XCに
荷物を満載し、出発だ。
天気予報は昨晩確認したとおり曇り後晴れ。バッチリである。
10時半ごろにアパートを出発する。
手間取ったのは、新兵器のカーナビを設定していたため。
MioC310・・頼りになる相棒だ。
バイクのハンドル周りに固定するのに思ったよりも時間がかかった。

出発だ。
名古屋は曇りだが、いずれ晴れてくるのだ。
ときどき電波が乱反射?するのか、逆方向を表示するが、大丈夫・・・のはずだ。
3時間ほどで三重県の松阪市に至る。

空は益益どんよりと曇ってくる。
小雨が振り出した。
カーナビは雨に弱い。
コンビニでカーナビを覆う程度のビニールを探す。
200円の軍手を包装したビニール袋がサイズ的にぴったりそうだ。
思わぬ出費。ついでに缶コーヒーで一服。
カーナビをビニール袋に入れて、下半身はレインスーツを履いて再出発。

国道25号で奈良方面行きはマンネリなので、166号をルートに選ぶ。
初めての道だが、カーナビが威力を発揮してくれるはず。
音声案内どおり右折したが、地図の表示と食い違っている。
微妙にズレがあるみたい。
よくわからない小道をうねうねと走って、42号・166号に復帰。
流石にカーナビがあると楽だ。

166号は、地元の人が奈良-三重間の通勤に利用する道みたいだ。
モタモタしていると、すぐに後ろから追い抜きを掛けられる。
段々と山中に入り込み、川沿いに桜が並ぶ景色になる。
曇りなのが残念だ。
桜の薄いピンクと曇天は相性が悪い。
繊細な花びらの美しさが映えないのだ。
残念に思いながら、通り過ぎる。

道の駅で一服。
キャンプ場に電話を入れる。
”雨が降ってますし、寒いのでキャンプには向きませんが・・”と消極的なお返事。
”現地まで行けたら再度連絡させてください。”と答えて電話を終える。
さて、どうしようか。

山間部では、カーナビは好調だ。
暫くは166号を道なりに進むだけだから迷うわけではないが、
現在位置がわかり、道がこの先右に曲がるかそれとも左か、
Rはどの程度か予測できるのは、とても神経が楽だ。
リラックスして走れる。
でも、ナビに気を取られると、前方が疎かになる。
気をつけなくっちゃ。

16時過ぎに東吉野村に至る。
166号を外れ、県道に。
カーナビから道が消える。
登録されていない道なのか・・・でも、方向や音声案内は続いている。
不安だが、信じるより他にない。
一車線の細道を低速で走り続ける。
徐々に暗くなってくる。
雨はシトシトと降り続く。
不安な道行きだ。
慣れっこといえばそれまでだが・・・

17時過ぎに国道169号に復帰。
本日は吉野には行かない。
169号を南下して宿泊地を決める。
雨は止むどころか、だんだんと激しくなってきた。

「お天気お姉さん、話が違うよ!」

実際はHPで確認しただけだけど、思わず愚痴が出る。
道沿いのホテルで本日の宿泊を問い合わせるが、満室とのこと。
初期の予定通り、キャンプになりそう。
寒くて、暗くて、怖そうだけど。

目的地は和佐又山。
10年前にロッジに泊まって登山に出かけた山だ。
雨の中、ひたすら169号を南下。
道はやたらと立派だが、民家も、対向車も乏しい。
後トンネルひとつ抜ければ和佐又山だ。
む、雨合羽を着た作業員に停止の指示を掛けられた。
「土砂崩れです。引き返してください。」
「次の和佐又山のキャンプ場に向かうのですが・・・」
「だったらOKです。でも帰りはこちらに戻ってください。」
「ラジャー。」

良かった。進退窮まるところだった。
トンネルを抜けると東側にお堂が。
記憶どおりだ。
西側に山道が。
ここだったはず。
すぐにロッジに着くはずだ。

でも、5分ほど走っても行き着かない。
記憶違いか、道違いか。
山道はカーナビの記載にない。勘頼りだ。
本格的に暗くなってきた。
30分もすれば真っ暗だろう。
前進を決める。
入り組んだ道を登っていく。

すると、霧が出てきた。
確かにそういう土地柄だったな。
眼下に見下ろす木々が見る見るうちに霧に覆われて見えなくなっていく。
ついでに道まで見えなくなってしまった。

漫画や小説の世界では濃霧の中から怪しい存在が出てきたりするのだが、
そんなこと考えている余裕はない。
こういう現実の危険に対して目を逸らした瞬間に、アウトドアでは危機に陥るのだ。

5m先の路面がなんとか見えるくらい。
10m先は迷宮入りというか、誇張ではなく事実そのものだが、全くの不透明だ。
足元の道路が続いていることを確かめながら、トコトコと進んでいく。
大丈夫か。
やがて左頭上に建物を示すランプが・・・これがロッジでなければお手上げだ。

ロッジだった。
漸くたどり着いた。
時刻は20時前。
ロッジの女将さんにご挨拶して、キャンプ場利用料を支払う。
「シーズンでないので、水とか出ないけど・・」と女将さん。
「大丈夫です。持参してますから。」
「でしたら、その道をあちらへ・・・屋根の付いた建屋が炊事場です。」と
指を指し示してくれるものの、どこにも道など見えませぬ。

きっと、先ほどの道を更に先へ行けばよいのだろう。
しばらく行くと、砂利道になった。右手に建屋が。
少し開けた場所なので、霧が薄いみたい。
幸運にも見つけることができた。

これ以上濃霧の中を進むのは真っ平である。
停車して荷物を降ろすと、またぞろ霧が濃くなってきた。
もう5m先など全く見えませぬ。
暗いのか、白いのかも、もうわけもわかりませぬ。
疲れ果ててしまった。

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(フラッシュで明るく写してこれくらい。ホントはもっと見えづらいのです・・)

幸いにも、炊事場にはテーブルと椅子が備え付けられていた。
しかも、かなり広いので、屋根の下にテントを張れそうだ。
てきぱきとテントを張って、テーブルで炊事だ。

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本格的な料理には縁がないので、夕食はコンビニ弁当である。
固形燃料で日本酒を沸かす。
”ボワッ!”
いきなり日本酒が燃え出した。火力が強すぎ!
息を吹きかけて火を吹き消すも、大事なアルコール分が飛んでしまった。
日本酒に弁当で漸く飢えを満たすものの、酔ったのか酔わないのか、
わからない状態だ。
だって、アルコールを飲んでるのかわからないのだから・・・

食事を終えると、明日の準備だ。
どう考えても私以外に人が来るとは考えられない。
熊ならば盗まないだろう。
私は安心して、雨に濡れた装備をテーブルに並べる。

寝袋にくるまると、すぐに寝入ってしまったようだ。
ふと目が覚める。
時計を見ると0時過ぎ。
ビョウビョウと風の音がする。
テントを開けて外に出る。
雲が晴れて星空が見えている。
良かった。明日は晴天だ。
小用を足して、テントに戻ると、
私は寒さ凌ぎにジャンパを足元に掛けて、寝袋に潜り込んだ。
by dokuzenryu | 2007-04-16 01:18 | ツーリング


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