天竜スーパー林道 2.夜明けまで

目的地は県道389号沿いの勝坂神楽の里だ。
道路沿いに看板が掛かっている。
どうやらここから数キロに亘って、3カ所ほどキャンプ地があるらしい。
楽勝・・・である。
最初の2カ所は、キャンプと言うよりバンガローらしい。
パス。
最後のキャンプ地・・更に暫く先まで走って何もないことを確かめ、目的地に到着したことを確認。
弥生式住居?・・・看板にそのように表示があり、朽ちかけた廃屋のような9畳ほどの建屋が数件建っている。
鍵は掛かっておらず、そっと中を覗くと、蓙らしき物が敷いてある。
この中はかなり怖そう。
テントの方がよほどマシな感じだ。
駐車場かテント施設場所かわからないような空き地がある。
ここで宿泊になりそう。
有料らしい。看板に連絡先が。
隣の民家のドアをノックするも不在。
携帯から連絡先に電話してみる。
「もしもし。勝坂神楽の里にキャンプを張りたいのですが・・」

「はい、XXです。えっ、勝坂神楽の里?
担当者から折り返し電話を入れさせますので・・」

なんだか、突拍子もない話を聞いたような反応だ。
既にすっかり日は落ちてしまった。
急いでもらわないとテントを張るのも一苦労なのだが、・・・
時刻は既に19時半を過ぎている。
10分ほどして、電話が掛かってきた。

「ここから一帯はキャンプ禁止になっています。○○と××と△△全てです。
ずっと川下に下ると別のキャンプ場があるので、そちらで許可を得られたら泊まってください。」

最新の地図に載っているキャンプ場なのに、あっさりと宿泊を断られてしまった。
電話などせずに勝手に泊まってしまえば良かったのか?
いや、こんなやる気のないところは願い下げだ!
私はイソップ物語の狐のように毒づくとバイクに跨った。
既に真っ暗だ。
愛車DJEBELの大型ヘッドランプが救いだ。
しかし、行きと帰りの道は印象が違うし、キャンプ場を探しながらだから、かなり難しい。
結局国道362・473号へ入り、秋葉神社東のキャンプ場まで戻ってしまった。
石ころだらけの川原に降りると、橋の下に看板があった。

”キャンプ料3000円 ”

一体この石ころだらけの場所で何に3000円を払えというのか?

私が狐に騙されたような気分でバイクに跨ったことは言うまでもない。
しかし・・・更に南下しても、もはやキャンプ場はない。
仕方がない。浜松まで戻って、カプセルホテルにでも泊まろうか、それとも・・・

やがて国道に復帰。
要所に街灯が設置してあるので視野は悪くない・・はずだが、どうも見えづらい。
眼鏡を掛けていなかった。
ポケットの中、それともヘルメットを外したときにどこかに置いてしまったのか。
一体いつから眼鏡を外したのか・・・全く記憶にない。
昼間は眼鏡を掛けなくても済む程度の微妙に良い視力が災いした。
もはや見つける術もない。
10年以上前のスペアの眼鏡をバッグから取り出した。
手痛い経済的損失を被ってしまった。

再び私は元来た道を戻り始めた。
天竜川を西に渡って、暫くすると森林公園がある。
ここで野宿できるかも・・・しかし、いきなりお寺の参道に入り込んでしまう。
延々と灯籠の灯りが輝き、途中にさりげなく仏像がライトアップされていたりする。
生きてる間にここに泊まるのは、どうもな・・・引き返した。

浜松駅中心部まで152号を西進する。
どこかに町中の公園でもないかと物色するも見当たらず。
遂には駅前近辺に到着。
時刻は10時を回っている。
ホテルにチェックインする時間でもない。

最近は千円程度で都市単位の良い地図がたくさんある。
本屋を見つけ、浜松市の地図で、近場の公園を探す。
不撓不屈で宿泊費を倹約するのだ。
でも、お寺や神社近くの公園はノーサンキュー。

候補地は3カ所。
1カ所目はただの森だった。
2カ所目・・・和地山公園。静岡大学隣のグラウンドのある大きな公園だった。
1周して様子を見るに、見晴らしが良すぎてテントを張ると目立ちすぎそうだ。
晴れているので、寝袋だけで大丈夫。
人目に付かないように一晩休ませてもらおう。

しかし・・・塾帰りの中学生達が屯していた。
道路の向かいにある空き地も公園らしい。
こちらならば、何とかなりそう。
空き地にたった一つのベンチに座って、夕食を取り始めた。
既に11時半を回っている。
夜中に公園で弁当を食べる姿は傍目にも怪しく、ランプを付けるのも憚られる。
道を人が通り過ぎる度に石像と化す私。
いい年してこんな事をしている自分に人生の悲哀を感じる。
弁当の味もよくわからないうちに食べ終えてしまった。

植え込みの影で外から見えない場所にウレタンマットを敷き、寝袋にくるまる。
12時前には中学生達も解散した。
後は、巡回中のお巡りさんに見つかって、公園を追い出されたりしなければいい。
野宿って、男のロマンだが、街中の夜空は白っぽくて見上げる気にもならない。
どちらかというと、お薦さんの気分だ。
なかなかに寝付けないが、酔いが回ったのか、漸く暫しの眠りに落ちた。

目が覚める。
空はまだ暗い。

時計を見ると午前2時だ。
神経が高ぶって、眠れなくなってしまった。
プロのお薦さんにはほど遠い私。
先程本屋で買った「黒猫の三角」というマンガをバッグから取り出した。
作画は皇なつきで、大変に美々しい絵を描かれる漫画家だ。
この人の本を見つけたのは一体何年ぶりだろう。
意外なことに推理モノだった。
後でブログを書くときに読者にお勧めしよう、と心に決める。

半分ほど読んで目を瞑る。
眠れぬながらも身体を横たえて休もうとする。
輾転反側するうちに、遂に小鳥が朝の唄を歌い始める。
5時だ。

とても眠れそうもない。
眠れたのは精々1時間。
しかし、これ以上は無理と見極めて、私は出発の準備を始めるのだった。
by dokuzenryu | 2007-05-22 01:06 | ツーリング


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